サンスクリット語「ニルヴァーナ」の訳で、原意は「吹き消すこと」。一切の煩悩が吹き消されて、業や輪廻がなくなった状態、つまりさとりの境地をいう。原始経典には「煩欲の滅尽、瞋恚(しんに)の滅尽、愚痴の滅尽」とあり、三毒がなくなった状態を涅槃と定義している。
しかし小乗部派仏教はやがて、この涅槃を二種に分け、釈迦が菩提樹の下で成道してから入滅するまでの肉体の存在する涅槃を有余涅槃、肉体がまったく消え去った状態の涅槃を無余涅槃(般涅槃・円寂)とした。また大乗仏教では、これにさらに人間におのずから備わっている仏性による涅槃がある自性清浄涅槃、生死に住せず、涅槃に住ませずという無住処涅槃の二種を加え、無性処涅槃を理想とした。
しかし小乗部派仏教はやがて、この涅槃を二種に分け、釈迦が菩提樹の下で成道してから入滅するまでの肉体の存在する涅槃を有余涅槃、肉体がまったく消え去った状態の涅槃を無余涅槃(般涅槃・円寂)とした。また大乗仏教では、これにさらに人間におのずから備わっている仏性による涅槃がある自性清浄涅槃、生死に住せず、涅槃に住ませずという無住処涅槃の二種を加え、無性処涅槃を理想とした。