こんにちは。有馬陽介です。
本記事は、前回の記事「【葬儀業界分析2018】家族葬が人気なんてウソ!葬儀の参列者数が減少した理由とは?」に続く【葬儀業界分析2018】の連載記事の4話目となります。是非、過去記事とあわせてご覧ください。
葬儀社だけが「葬儀」を担う時代は終わり
専業の葬儀業者が「葬儀」を執り行ってたのは今や昔。
現在では、「葬儀」に関わっていた周辺業者のみならず、鉄道会社など「人」が集まりやすいインフラや物販事業を提供している企業が葬儀事業に参入しています。
葬儀周辺事業 | インフラ/物販事業者 |
・飲食 ・生花(リベント/日比谷花壇など) ・返礼品 ・仏具メーカー(丸善) ・貸衣装 ・人材派遣 | ・阪急電鉄 ・京王電鉄 ・生協 |
2040年には死亡者推計は167.9万人、葬儀市場規模は2兆7,169億円(本連載1話目参照)に拡大することから、語弊があるかもしれませんが「ビジネスチャンス」と捉えて新規参入が増えることは言うまでもありません。
また、これら事業者とは別に
・イオン
・小さなお葬式
といった企業が参入してきている点も「葬儀業界の変化」を物語っているように思います。
葬儀社ではない?!イオンや小さなお葬式は仲介業者!
「イオン」や「小さなお葬式」といった事業者を【葬儀社】と勘違いする方が多いのですが、彼らは厳密には【葬儀社】ではありません。
かつて、喪主は葬儀社と直接契約をすることで、葬儀一式の依頼を葬儀社にしていました。
しかしながら、昨今のインターネットの発達により、葬儀社を紹介する仲介業者が誕生することになります。
葬儀社の種類について詳しく知りたい場合は、弊社記事『そのお葬式…葬儀社との契約じゃないかも?!知られざる3タイプの葬儀社を知ろう!』をご参照ください。
喪主から依頼を受けた仲介業者は、近隣の葬儀社を探し喪主とマッチングをさせます。
つまり、喪主は、仲介業者が委託をした葬儀社に間接的に葬儀を依頼することになります。
「イオン」や「小さなお葬式」の特徴は、仲介という点よりも
・葬式一式の金額が定額
ただ、その一方で下記のような問題も散見されるようになってきています。
喪主側 | ・「イオン」や「小さなお葬式」に依頼をしたと思っていた(仲介ということを理解していなかった) ・葬儀社のクオリティに不満(葬儀社の品質は担保されない) |
葬儀社側 | ・金額が定額なため提供サービスに無理が出てしまう(かつ仲介手数料を仲介業者に支払う必要がある) |
弊社でも、「小さなお葬式」を利用して葬儀のご依頼を受けておりましたが、定額に収まらないサービス提供を必要とする場合があったり・・・と”安定した品質のサービスを提供し辛い”など、いくつかの理由から現在では利用するのをやめています。
このままいくと、定額での仲介業は成立しないのでは・・・と考えていますが、「安価でも葬儀を受注したい」という葬儀社が存在する限り、仲介業はなくならないでしょう。
フューネラルからライフエンディングへ
葬儀周辺業者の新規参入、仲介業者の登場による事業構造の変化…と葬儀業界は変わらないようでいて、その実着実に形が変わりつつあります。
これまで、葬儀業は「死者をお見送りする」というフューネラルがメインでした。
しかしながら、近年は「死」以前の「生」前のライフエンディング(終活)をサポートするところまで範囲は広がっています。
今後、葬儀に携わるものは「生前に何をしておくべきか」のコンサルティング力が重視されるようになるのかもしれませんね。